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2017.05.08 Monday
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風色サーフ総評 風色サーフが「良作」以上の評価を得られない理由

2011.06.26 Sunday 10:27
評価:
(2009-05-28)
コメント:オトメゲーの異色作にして「良作」.こういうオトメゲーもありだと思います!

【購入前に役立ちそうな情報】
オーソドックスなADV.共通ルート4章,キャラ別共通ルート3章(航空班ルート,整備・補給班ルート,市街ルート),個別ルート3章.攻略はサイト見なくても問題なし.「読みゲー」だけども物語の起伏があるからか、ダラダラとした印象は受けなかった.恋愛糖度を求める人よりも、シナリオ重視の人のほうがオススメ.最近のADVでよくみられる複合シナリオによって真相を解明する作りではなく、シナリオを重ねることで世界観の奥行きを作りだすような作り.1周目は設定が多く取っ付き難いが、周回を重ねることで、主人公が属するロビュ小隊の雰囲気に愛着を感じるはず.

共通ルートは楽しいエピソードが多いが、個別ルートに入ると戦時下に置かれかなり危機的な状況に陥る.今までプレイしてきたゲームの中で一番シリアスだった.「ギャグよりシリアスが好き!」と普段公言している私でも堪えること多々.もう鞍替えして「ギャグの方が好き!」と言う方がいいのかもしれない.そう言ってしまうぐらいに堪えた.

巷でおじさんゲーと言われる如く、これだけ素敵なおじさまたちを落とせるオトメゲーはないでしょう.それだけではなく、どのキャラも男のかっこよさ(ダンディズム)・騎士道精神といった要素を持ち合わせていると思います.(ただし年下のセルジュルートだけは‥それに当たらず.)男性が年齢を経て習得していく魅力の図鑑‥男性キャラクター全体を通すとそんな言葉で表したくなります.萌えよりもガチです.ルート外でもその魅力が発揮されるので、お目当ての人のルートだけではなく色々な人をプレイするのがいいかも.

攻略キャラの達観や諦念に対しての描写とその昇華は製作者の意図か好みか、本当に細やかに描かれていて、それだけでもシナリオを読んで(ゲームをプレイして)よかったと思えました.おそらくこの部分も良シナリオの所以でしょうか.ただし、スチルは心の目で補正しないと無理.何かがおかしい.(頭と体のバランス??)


(少しばかりネタバレした総評やコラムは以下に.)

【総評】
ロビュ小隊を舞台にしたミリタリー青春記として全11話ぐらいで展開されるアニメ,あるいは全8巻ぐらいの漫画をオトメゲーにしたような作品.群像劇としてみると非常に面白いが、オトメゲーとして一人の男性にスポットを当てシナリオが練られるには、難がある.たとえシナリオに心動かされるシーンがあっても「良作」どまりなのはそのせいかと思われる.ただ、群像劇をオトメゲーに,という可能性は示唆したのではないだろうか.
また、絵の雰囲気は世界観にマッチしているが、立ち絵やスチルの出来は納得できない.これもオトメゲーとして大きな失点だった.


【コラム 風色サーフ 群像劇と世界観】

朝4時早朝哨戒
朝4時〜朝5時夜番整備班の交替休憩
朝5時厨房朝食準備、防衛分隊起床・早朝訓練
朝7時士官階級朝議
朝8時~8時半夜勤→日勤への申し送り
朝8時半〜日勤仕事開始
  
例えば、こんな風に朝のスケジュールが組まれているのだろうか??早朝哨戒に出るルカが伸びをしながら夜番のトゥーフォンに哨戒の確認署名を貰ったり、朝議で舟を漕ぐコリンをクラウスが叱ったり、厨房でティノさんからパンを受け取って資料室に朝勉しにいくエリカがいたり、出勤前にフギン・ムニンに餌をやるオズウェルがいたり.職務によって一人一人に生活があって、ゲームで描かれているのはほんの一部分.こんなことを想像できるほどロビュ小隊の日常があちらこちらから伝わってくる.
アレック編でのルイディナの言葉が印象的だ.「様々な人種・立場の人間が入り混じり、一人一人が役割を持つ社会」.これが風色サーフの魅力だと思う.
もしゲームではなくアニメや漫画で語られるならば、開戦→停戦というメインシナリオがあって、各話で一人ずつスポットを当て、個人や集団の困難に対してみんなで解決する話になるだろう.「この作品がオトメゲーなら‥」を実践してしまった異色作と、評してもいいのではないだろうか??と言っても、「この作品〜」の作品自体はないのだけれども(苦笑)

そのように魅力的な世界観と集団ではあるが、オトメゲーとしては個別シナリオの当たりが半分、外れが半分となってしまった.その理由は、共通ルートにあると思う.航空班だとルカ,市街編だとヨハンが主軸であり、他の攻略対象については気持ちが入り込みにくい.(ちなみに、私としては、オズウェルはアレック編での立ち居地が彼らしいような気がしてならない.)
その問題を解消するようにオズウェルだと誇張されたツンデレ表現だったり、本人ルート外で猛活躍するコリンなのだと思う.ただセルジュを思うと、フォローが足りないのでは?と感じるのはプレイヤーとして共通なところではないだろうか.

譲歩した見方にはなるけれども、セルジュシナリオで進行させたかったのは、「周りが見えていないが自分の思いに真っ直ぐな」若者像だったんじゃないかと思う.それが戦火の被害者像を交えてしまったことで鬱蒼としたものになってしまったのは言うまでにない.このシナリオを決定した判断を、シビアな世界観を描こうとした点では評価したいし、その一方でオトメゲーとして採用したことには異を唱えたい.
言うまでになく、セルジュの対極にある大人たちは情熱や夢の再発見になるのだろう.隠しキャラであるティノルートはそれが集約されたものであるし、ティノ側から書き綴られる変化も興味深い.


戦争のイメージと風色サーフ.予期できるかできないかその一点を除き、自然災害も戦災も何らかの大きな力に見舞われたものと私は思っている.私は市井の人以外の何者でもない.それゆえに、兵士の、軍のというものは全く未知なものだ.主人公が言う、「女が働けるならばまだ平和だ」なんて、自分の口から出ることなんて決してない.風色サーフには、そういう戦争を行う側で生じる戦火の色を感じるシーンがよく見られる.それらがプレイヤーを画面の外に追いやり、作品を密封化する.

快楽の園 ヒエロニムス・ボス
ヒエロニムス・ボス 快楽の園 扉絵

プレイヤーが触れることの出来ない世界が、十分な質を保って存在する.戦火の世界とその世界の中で飛ぶ飛行機への夢、そしてその世界で働くキャラクターたち.たとえオトメゲーとして成立しなくても作品として愛される、だからこそ「良作」という奇妙な評価が下されたのだろう.ただし、プレイして損はない,まさしくその言葉通りの作品だと思う.

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【風色サーフ シナリオ感想】
ルカコリンクラウス
セルジュヨハン
アレックオズウェル

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コメント
『風色サーフ』コンプ・総評アップお疲れ様です。

もともと興味のあった作品だったので、風色サーフ関連の記事は毎回楽しく読ませていただいていました。
「良作」「泣きゲー」などの評価をよく耳にする作品なのでどのようなものかと思っていたのですが…シリアスですか。戦争というテーマの元に作られたものだからこその重々しさが伝わってきて…乙女ゲーというより、ひとつの物語のレビューを読んだような気分になりました。
私もいつか(プレステが手に入れば)プレイしてみたいと思います。

やしろさんのレビューは毎回わかりやすい上にしっかりとした考察がなされていて感心させられます…。
これからの記事にも期待しています(´∀`)


らいきさん、こんにちはー!
お互い暑い部屋でゲームをプレイしているんだと思うと熱くなりますね(;´∀`)

風色サーフのレビューへの労いありがとうございます.
私の場合、プレイしていない作品のレビューを読むのが無理なようで‥
らいきさんには頭が下がる思いです.
だから、次の「赤ずきんと迷いの森」のレビューはしっかり読みに行きますね.

風色サーフ評で言うところ、「映画みたいなゲーム」というのが一番適切なんじゃないかなぁと、
感じています.私に語り手の才能があれば‥風色サーフをノベライズにしたいぐらいデス!
PSPに移植してもいいんじゃないかと思うのですが‥.ラッセルさん自身が、
オトメゲーに対して乗り気なのか乗り気じゃないのかよく分からないところです.
でも次作も期待して待ちたいなと思ってます♪


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